バス用語辞典~カ行~

スポンサーリンク

過給機

エンジンの吸入空気を圧縮してエンジンに送り込む装置。ターボチャージャーやスーパーチャージャーがこれに該当するが、バスにおいては前者が用いられる。詳細は「ターボチャージャー」の項にて。

貸切会

バスマニアの間で使われる用語。写真撮影や乗車、録音等様々な目的で好きなバスをチャーターすること。

営業所内の様々な車を撮影する、その車両が普段走らない場所を走る、車両の性能を発揮させる、景色のいいロケーションでその車両を撮影する等、会によってさまざまな種類がある。

貸切免許が無く貸切自体が不可能な事業者、貸切の用途や車両が限られる事業者、営業所内での撮影や、走行エリアに制限がある事業者等がある。バスマニアの貸切会は事業者との信頼関係で成り立つ。どのような場合でも、無理な要求は絶対に行わないよう心がけること。

架装(かそう)

バスの構造は大きく分けて、「シャシー」と呼ばれる車両の骨格部分と、「車体(ボディ)」と呼ばれる外装・内装部分から構成されている。
架装とは、このシャシーに車体(ボディ)を取り付ける作業、またはその工程全体を指す。

バスの場合、シャシーメーカー(例:日野、いすゞ、ふそう)と車体メーカー(ジェイ・バス、MFBMなど)が分業していることが一般的であり、メーカー同士の提携により架装が行われる。

しかし、用途や自治体・事業者の要望に応じて、標準とは異なるボディを架装する特注例も存在する。例えば以下のようなケースである:

  • 観光路線向けに特別な意匠を施したボディ(仙台市・鹿児島市など)
  • 現在は廃止されたが、富士重工業製西日本車体工業製といった、独自のデザインやレイアウトを持つ車体を架装していたケース
鹿児島市の市内循環観光バスで用いられる車両(エルガミオをベースに、岩戸工業が架装した)

このように「架装」は、バスのデザインや機能性、地域の特色を反映させる上で欠かせない工程であり、かつては事業者が車体の指定が行われることもあった。

基幹バス(名古屋市)

名古屋市で1980年代に整備された高機能バス路線。
地下鉄計画の代替や鉄道空白地域の補完を目的に、名古屋市交通局と名鉄バスが協力して運行。
道路中央走行方式(新出来町線)、バスレーン、専用信号制御、停留所間隔の拡大などにより、定時性・速達性を向上させ、導入後は表定速度・利用者数の改善が確認されている。
整備コストは低く、既存道路を活用する交通改善策として評価されている。

希望ナンバー

自動車のナンバーの4桁の数字を指定して取得すること。一部の事業者では、車両を管理する車両番号に合わせた数字を取得(山交バス等)したり、ナンバー番号そのものを車両の管理に用いる(仙台市交通局等)事業者もある。

クラッチ

クラッチは、MT(マニュアルトランスミッション)車に搭載される装置で、エンジンの動力をトランスミッション(変速機)へ伝達・遮断する役割を担う。

車両が発進・停止やギアの変速を行う際には、一度エンジンとトランスミッションの接続を切る必要があるため、このクラッチを「切る」操作を行う。
この操作は、運転席の
左足で操作するクラッチペダルを用いて行われる。

クラッチ操作には繊細なタイミングやペダルの踏み加減が求められ、発進時の半クラッチ変速時のショックの抑制など、運転手の技量が大きく現れるポイントでもある。

また、近年ではクラッチ操作を自動化したAMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)や、デュアルクラッチ式トランスミッション(DCT)のようなシステムも登場している。

クリープ現象

AT車において、ブレーキを離すとアクセルを踏まずとも車両がゆっくり前進する現象。AT車に用いられる動力伝達装置であるトルクコンバーターは、クラッチと異なり動力を完全に遮断することは出来ないため、エンジンが動いている限りは動力が伝わり続けることから発生する。

ブレーキから足を離すだけで低速で走行できるため、車庫入れや渋滞時の操作の容易さに貢献する。

本来はトルクコンバーター式のATにのみ発生する現象だが、一般的なトルコンAT同様の操作性を実現するために、AMTやDCTにも疑似的にこれを再現するものが殆どである。

減速比(げんそくひ)

トランスミッションがエンジンから受け取る回転数と、タイヤに伝える回転数の比。自動車においては入力/出力の数値で表す。この値が大きいと加速が良く、小さいと同じ速度であれば回転数を低く保つことが出来る。

一般的にバスには同一車種で複数のギア比が用意され、事業者は走行環境に応じて適切なギア比を選択し購入する。代表的な例として、広島バスや広島交通、仙台市営バスは坂の多い路線環境を考慮し、ギア比の低い仕様を選択している。

高出力車

上り坂や高速走行に対応するため、通常よりパワーのあるエンジンを選択した車両を示す。

先代型いすゞエルガであれば、6HK1エンジンに260馬力仕様と300馬力仕様が用意され、これは燃料ポンプやカム制御、過給圧の違い等により、異なる出力を実現していると思われる。また、NAエンジンに対しターボを取り付け(三菱ふそうの6D24型エンジン等)たり、より排気量の大きいエンジン(日野のK13U型エンジン等)に変更することで高出力とする例もある。

高出力車を導入する事業者の代表例は神戸市交通局や山陽バスで、坂の多い神戸の街を力強く走る姿が印象的である。

いすゞエルガの高出力仕様を採用する神戸市交通局。こちらはQKG-LV234L3、アリソン製ATに6HK1-TCS型エンジン(300PS)を採用。