いきなりですが、これはセレガでしょうか?ガーラでしょうか?
京成バスの車番の法則を知っている方には簡単な問題となってしまうのですが、ここでは車両そのものの違いについて解説します。
日野セレガ・いすゞガーラとは
日野セレガ・いすゞガーラは、2005年に発売された大型観光バスとなります。それまでセレガ、ガーラはそれぞれ日野、いすゞが独自で開発していましたが、日野といすゞの合弁会社であるジェイ・バスが製造を行い、日野、いすゞ両社に供給することとなりました。開発は日野であるため、エンジンは日野製のE13C(モデル途中からA09Cが追加)が搭載され、型式も日野のルールで命名されています。
発売から2012年までは、E13C型エンジンに6速MTのみのラインナップでした。また、9m車にはJ08Eが搭載されています。
2012年からは、A09C型エンジンに7速MTという組み合わせが標準出力仕様となり、高出力仕様はE13Cの450馬力となりました。
2017年からは、9m車のエンジンがA05Cに変更、AMTであるProShift7との組み合わせになりました。翌年2018年には12m車のA09C、E13C共にAMTが追加設定、段数はMTと同じく、A09Cが7速、E13Cが6速です。
しかしながら、2022年に日野自動車のエンジン認証に関わる不正行為が発覚。12m車に搭載されるA09C、E13C共に認証試験で不正があり、型式指定取消処分となりました。また、9m車についても、A05Cの一部タイプに不正があったため、こちらも出荷停止。セレガ・ガーラは一時期全車出荷停止となりました。
2023年には9mと、A09C搭載車の出荷は再開されましたが、依然としてE13C搭載車の出荷の目途は立っていません。夜行バス、観光バス中心にパワフルなE13Cエンジンの復活を望む声も多いですが、今後どうなるか注目です。
冒頭の問いの答えから
正解は、いすゞガーラとなります。ちなみに2010年以降のモデルであることも、外観から判別することが可能です。
では、どのようなポイントで見分けたのか、解説していきます。
答えは、フロントパネルのデザインの違いとなります。
違いが分かるでしょうか?ちなみに、フロントガラス下のオーナメントランプの有無もありますが、左右ライト間のパネルの違いで判別しています。オーナメントランプはセレガであっても無い仕様がありますので。(https://www.hino.co.jp/selega/lineup/index.html より リミテッドエディション)
京成バスは白色になっていて分かりにくいかと思うので、分かりやすい例がこちら
これでお分かりいただけたでしょうか。セレガは2分割に溝があるデザインですが、ガーラの場合はいすゞのトラックのグリルを踏襲し、6分割となっています。
ちなみに、メッキガーニッシュ付きの仕様はもっと分かりやすくなります。
メッキガーニッシュ付きであれば、判別は容易です。また、メッキガーニッシュが装備されているセレガはオーナメントランプも装備される場合がほとんどですので、尚更判別が付きやすくなります。
よく言われる他の判別点は?
Jピラー
こちらは確実な判別点にはなりません。
こちらはガーラですが、Jピラーとなっています。確かにほとんどの場合ガーラにJピラーは装備されませんが、このような例もあります。
オーナメントランプ
オーナメントランプが付いていればセレガはほぼ真であると思われますが、リミテッドエディションの存在がありますので、オーナメントランプが無ければガーラとは言い切れません。
リアウィンドウ
確かにガーラの特徴として、分割のリアウィンドウがあります。しかしこれは観光系の上位グレードのみの特徴で、ガーラの高速路線タイプはセレガ同様1枚窓です。これは方向幕が装備出来ないためであると思われます。(貸切から路線に転用した際、改造で取り付けた例はあり。)
ちなみにこの分割窓は、初代ガーラからの伝統ですね。
エンブレム
言うまでも無くこれは最も正しい判別方法となります。そもそもエンブレムが付いていれば悩むこと等ありません。お帰り下さい(笑)
結論
フロントのパネルを見るべし。6分割ならばガーラ、2分割ならばセレガである。
そもそも中身は同じ車ですから、見分ける必要も無いというツッコミは無しでお願いします。
所長が一番思っていることですので(笑)
余談その1 前期型・後期型
実は、見た目で年式をある程度推測することが出来ます。下の写真は2台ともガーラですが、フロントに違いが2点あります。
答えは下に続く
正解は、ヘッドライトと、フロントパネルの形状となります。
まずは、ヘッドライトから注目していきましょう。
ご覧のように、ヘッドライトが異なります。左のタイプはPKG-代(~2010年)まで採用されたもので、右のタイプはLKG-代(2010年~)以降に採用されているタイプです。これは分かりやすい差ですね。
次に、フロントパネルの形状に注目していきます。
先ほども上げましたが、こちらがPKG-代までのタイプ。左がセレガ、右がガーラですね。
一方こちらがLKG-代以降のタイプ。もうお分かりかと思いますが、左がセレガ、右がガーラです。車間センサーの装備の影響で、形状が変更されています。
ちなみに…
コイツは厄介です。PKG-代までの前期型ですが、ヘッドライトが現行のものに交換されています。しかし、フロントパネルだけは裏切らないのです。
以上が年式の推測方法でした。
余談その2 型式
型式について、法則を解説します。
例えば、E13Cエンジン搭載の初期型セレガの場合、PKG-RU1ESAAのようになります。これを例に解説します。
まず「PKG-RU」。この部分は排ガス規制の記号と、車種の分類になります。排ガス規制記号につきましては、こちらをご覧ください。
RUの次の「1E」。ここはエンジン型式を示します。1Eの場合E13Cエンジンですが、1AならばA09C、2AならばA05Cといった法則です。
次の「S」はホイールベースを示します。現行セレガ・ガーラにはホイールベースの種類は統一されていますので、12m車はS、9m車はHとなります。路線バスのP尺ですとか、L尺と呼ばれるものと同じです。
末尾から2番目のAは、改良順です。セレガ・ガーラの場合、PKG-まではA、LKG-からはBが登場し、A09Cエンジンが登場してからは、A09CのみCが附番されました。そして、2017年発売のモデルより、Dとなりました。
末尾の数字は、セレガはA、ガーラはJが附番されます。この部分は車両タイプにより設定されているようで、同じ日野自動車製の車両ですと、フルフラットノンステップはE(例:KL-HU2PMEE)が附番されたり、ワンステップ車にKが附番されたりします。
つまり、PKG-RU1ESAAは、E13Cエンジンを搭載した初期型のセレガであると型式から読み取れます。
おさらいクイズ
上の写真のバスはどれに当てはまるか、以下の4択から答えよ。
これを選んだ貴方はこの記事を初めから読み直しましょう。
セレガ、ガーラの見分けは出来ています。前期型・後期型の見分けをもう一度読みましょう。
前期型・後期型の見分けは出来ていますが、肝心のセレガ・ガーラの見分けが・・・もう一度ここを読み直しましょう。
お見事!
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